皆さんこんにちは、地理担当のKatohです。

近年日本でブームとなっているUyuni塩湖。地球の反対側にも関わらず、その絶景から多くの観光客を引きつけています。

今回は、地理学的観点から知れば絶景をより楽しめる、ウユニ塩湖の特徴をお伝えしていきます。

3分で見られるウユニ塩湖とその周辺の絶景

実際に行ってきた、我々の旅の概要については以下をご覧ください

基本情報

とにかく大きい

南北約100km、東西約160 km注1、面積約10,582km2[1]です。これは青森県よりも大きく、以下の縮尺の衛星画像でもギリギリ目視することができます。どこにあるかわかりますか?

注1: Wikipediaによるとウユニ 塩湖の東西の距離は250kmとされていますが、現地ガイドの説明では160kmとされていました。衛星画像の測定の結果、実質的な幅は160kmであることを確認したため、160kmとしています。

画像: NASA Worldview

正解はこちら!

雲との見分けが付かないかもしれませんが、この縮尺でも目視できることがわかりました。

もう少し拡大してみましょう。

ボリビアの実質的な首都ラパスから南に約540km、飛行機で1時間、バスで約14時間で塩湖観光の拠点ウユニ 村があります。

日本からウユニ までのレポート

とにかく標高が高い

ウユニ塩湖およびウユニ 村は標高約3700mに位置しています。Uyuniを含むボリビア南西部一帯は世界最長の山脈であるアンデス山脈上、正確にはオクシデンタル山脈(西アンデス)とオリエンタル山脈(東アンデス)の間にある高原地帯(アルティプラーノ)にあります。したがって万が一高山病を発症した場合は、簡単に高度を下げることができないことを念頭に置いておく必要があります。

ちなみに、ラパスやチチカカ湖、ポトシ銀山もアルティプラーノ上にあります。

高地で懸念すべき事象をわかりやすい例えで解説

とにかく平たい

100km 四方で高さが50cmしかなく[2]、世界一平らな所と言われています。つまり0.0005%の精度で平らということになります。これは、わかりづらい例えをすると10m四方の部屋(50人規模の宴会場に相当)に対して、凸凹が0.5μmしかないなめらかさに相当します。0.5μmを身近なもので例えるとリケッチア(細菌の一部、発疹チフスの原因菌を含む)が相当します。また、ウユニ塩湖全域(島を覗く)地球の円周からの誤差が1m以内であるというデータもあります。[3]

実は宇宙開発に欠かせないウユニ 塩湖

世界の陸地の中で極端に平らなウユニ塩湖は、人工衛星のキャリブレーション(較正)に使われています。それは、以下の要因を備えているためです。

  • 上述した通り、極端な平ら
  • 高い白色の塩原は表面反射率が高い。ウユニ 塩湖での紫外線の表面反射率は69%(水の反射率は10%〜20%)
  • 標高が高く工業地帯が少ないために、空が非常に晴れている
  • 砂漠気候に分類されており、雨期を除いで空気が非常に乾燥している。(平均相対湿度30%)
  • 海面に比べて潮汐や波による変化がない

これらの特徴により、レーダー又はレーザーによる高度センサーのキャリブレーションに理想的で、実際に海面より5倍の精度でキャリブレーションできるという実績があります。ウユニ 塩湖をキャリブレーションに使用した地球観測衛星により、高精度での極地の氷床や海面上昇のモニタリングが可能になりました。[4]

地下河川がある

ウユニ塩湖の塩の層は最大で深さが100mほどあるとされています。そして、リオ・グランテ川(当たり前だが、有名なアメリカにある物とは異なる)をはじめとするいくつもの川が、周囲の山から流入しています。そのため、ウユニ 塩湖には、塩の目と言われる湧水池や小さな穴があります。

ウユニ塩湖の中心部にある、湧水池は多くのツアーで立ち寄る場所として観光客で賑わっています。正直なところ、あまりフォトジェニックではないこの湧水池ですが、ウユニ塩湖の地下で起きていることを知る手がかりとなりそうです。

地下水の循環を観察する篠原先生

泡が噴き出していますが水温は冷たく、泡の正体は水に溶け込んだ酸素だそうです。

遠目には泥のように見える赤茶色い色素は、地下水に含まれる鉄分が酸化したものたそうです。(ガイド談)。

我々道民としては、春先の雪解けシーズンによく見る光景と合致します

起源

地理学的には塩原

ウユニ 塩湖の名前で知られるが、実態は塩湖の水が太陽による熱などで干上がって出来た塩やミネラルが堆積した塩原、または塩類平原です。ウユニ塩湖は世界最大の塩原です。他には、アメリカのボンネビル塩原やボツワナのマディカディ塩湖などがあります。

塩原は塩水湖が蒸発することによってできます。ウユニ塩湖の先駆けは、Lake Minchin(ミンチン湖)という古代湖です。

太古の昔、海の底だった?

「太古の昔、アンデス山脈が隆起した時に海水が取り残され、長い時間をかけて蒸発し、湖底に塩が堆積した」という説が有名で、実際に現地ガイドにもこう説明されました。ほとんどの日本語のブログや旅行会社のサイト、さらには高校地理Bの参考書にまで、これと似たような説明がされています。しかし、この説明は正確ではない可能性が高く、理由として以下の理由が上げられます。

  • アルティプラーノを挟む西アンデスと東アンデスの形成の時期にはズレがある可能性が高い。
  • 海洋生物の化石および海底堆積物の痕跡がない

実際、ウユニ塩湖元海底説は、昔は信じられていたようなのですが、いくつかの矛盾を説明できず、最近は主流の学説ではないようです。[5]

ここで、デマを信じてしまったKSG氏による、渾身のポエムをどうぞ

本当に”自分だけ”のようだ

じゃあ大量の塩はどこから来たんだよ!という点については、信頼の置ける情報を提供するべく目下調査中ですので、また別の記事にしたいと思います。

ガイドの説明では「ナスカプレート(海洋プレート)が南アメリカプレート(大陸プレート)を押し上げた」等のもっともらしい説明がありました。多くの旅行者がそのままブログを書いたと思われます。「ヒマラヤで貝が見つかる」という事も義務教育で習います。広大な塩原を見たらまるで水平線に見えてくるし、世界一の鏡面に立って、そこが太古の昔海底だったと妄想、なんてロマンティックなんでしょう。信じたくなる気持ちもわかります。

人間は一度思い込んでしまうと、意識的または無意識的にそれを否定する事実から目を背けてしまう傾向があります。しかし美しい自然をリスペクトするからこそ、科学的な証拠と真摯に向き合いながら解釈をしていく必要があると我々EPC考えます。

たとえウユニ 塩湖に立っていることが、太古の海底に立っていることを意味しないとしても、その美しい風景が地殻変動や火山活動、氷河や気候変動等の途方もない時間と壮大なスケールの歴史があって形成された事実は変わらないのです

ソース

[1]: https://ja.wikipedia.org/wiki/ウユニ#概要
[2]: https://ja.wikipedia.org/wiki/ウユニ#ウユニ塩原
[3][4]: https://en.wikipedia.org/wiki/Salar_de_Uyuni#Satellite_calibration [5]: https://en.wikipedia.org/wiki/Lake_Minchin#Origin
ウユニ塩湖の地下に眠るリチウムを徹底解剖

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2 Comments

【グローバル経済】ウユニ塩湖に眠る希少資源リチウム | EAT PRAY CARP · 4月 23, 2020 at 5:27 pm

[…] 【ウユニ塩湖の地理学】EPC Geographic Series […]

【オウンドメディア運営】成功とその先のための成長戦略 | EAT PRAY CARP · 7月 14, 2020 at 6:25 pm

[…] 【ウユニ塩湖の地理学】EPC Geographic Series […]

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