こんにちはライターのSASAKENです。
 私は、学生最後の春休みを利用して、ボリビアからチリまで抜ける宝石の道を自転車で走ることとなりました。

詳細はこちら→https://eat-pray-carp.com/2019/12/19/houseki1/

 この地域は標高が非常に高く、旅の出発地となるボリビア、ラパスの標高は3630mもあります。
 普段、標高の高くない場所に住んでいる人が、標高の高い旅行地を訪れるに当たって、気を付けなければならないこととして、「高山病」対策が挙げられます。
 この記事では、私が調べた高山病対策をシェアさせて頂こうと思います。

高山病とは?

 標高の高い場所では、「空気が薄い」状態です。仮に地上での空気圧を100とし、標高の高い場所での空気圧を50とします。空気中の酸素の割合は標高に関わらず、約21パーセントほどです。先程の仮定の下では、地上では100×0.21=21の酸素を得ることができますが、標高の高い場所では、地上と同じ呼吸をしていると50×0.21=10.5の酸素しか得ることができません。この低酸素状態になれるために体の中ではたくさんの変化が始まります。この過程で生じるのが高山病です。

 一例として、ヒトは呼吸の仕方を変えること、すなはち、呼吸の回数であったり、一回当たりの換気量を増やすことで酸素不足を解消しようとします。しかし、呼吸の量を増やすと、酸素を多く取り込むことができる反面、多くの二酸化炭素を空気中に放出してしまいます。その結果、血中の二酸化炭素濃度が下がってしまいます。血中の二酸化炭素濃度が低くなると、睡眠中の呼吸回数が減ってしまい、今度は低酸素状態になってしまいます。低酸素状態になるとまた過呼吸になって、そしたらまた呼吸回数が減って…というループに入ります。その結果、不眠になってしまいます。このような不眠も高山病の症状の一つです。
 症状と対処については後述したいと思います!!

高山病を予防したい

それでは、どのようにすれば高山病を予防することができるでしょうか。

①徐々に高度を上げる

 徐々に高度を上げることは、高山病を防ぐ最も確実かつ安全な方法です。

 具体的には、
・普段、標高1500m以下で生活している人が突然、標高2800mよりも高い場所で睡眠をとることは避けるべきであると推奨されています。
・標高3000mより高い場所へ行く場合は、前の晩寝た場所より500m以上高い場所で寝ることを避け、標高が1000m上昇するたびに、1日の休暇日を設けることが推奨されています。
・高度を上げる計画を立てる際には、歩いている間にどのくらいの高さまで登るかよりもその日に寝る場所の標高を重視するべきとされています。登山家の間では”Climb high,sleep low”という言葉があります。

②順応する

 生物の体は、環境が変化するとその環境に対応できるように順応しようとします。それは、高地環境であっても同じです。
・標高2200mから標高3000mの環境に6,7日滞在してから、さらに高地への登山を行った場合、急性高山病になるリスクを軽減することができた。
・生理学的な見地からは、標高2500mから標高3000mへ訪れる場合、1500mに数日滞在してから向かった方が、急性高山病のリスクを下げることができると考えられているが、医学的根拠は十分ではない。

③薬物を処方してもらう

 高山病の予防薬として、最も有名なのはアセタゾラミドです。ダイアモックスの名前で知っている方もいるかと思います。

 アセタゾラミドは緑内障などに処方されている薬ですが、高山病予防薬としても効果があります。

・アセタゾラミドの予防内服は、高山病のリスクが中等度から高度と考えられる人に強く推奨されています。高山病になるリスクが高度である人として、高山病にかかったことがある人、標高3500mまで2日以内に到達しようとしている人、高山病になりやすい持病(心不全、COPD、睡眠時無呼吸症候群など)を持っている人があげられます。
・高度を上げる前日から高度上昇後2-3日間までの間、12時間ごとに125mgまたは250mgを経口投与することが推奨されています。
アセタゾラミドの市販薬はなく、医師からの処方が必要です。 また、サルファ剤にアレルギーがある方は使用できません。
予防薬の処方が可能な病院リストが日本旅行医学会のホームページに掲載されていますので、そちらをご覧ください。

日本旅行医学会

アセタゾラミドを処方してもらうのにどれくらいの金額がかかる?

 アセタゾラミドの高山病予防に対する処方は保険診療とはなりませんので、自由診療となります。そのため、病院によって価格はまちまちです。

 調べてみた所、東京の三軒茶屋にあるふたばクリニックでは10錠2200円。北海道地区だと札幌内科クリニックで4日分、3300円となっています。
 あるクリニックでは7000円と、かなり価格に開きがあるようです。要予約であったりする病院も多いので、よく調べておくことをお勧めします。
 実際に処方してもらおうと考えているので、後日実際にかかった金額などをレポートしようと思います。

 さらに裏技的な方法として、現地で買うという方法もあります。
 某ブログの情報によると、ラパスの薬局で1500円で30錠のアセタゾラミドが得られるとの情報がありました。
 しかし、ラパスに降り立った時点で標高は、3500m越えであり、アセタゾラミドの予防内服は前日から始めることが推奨されている点から、日本で処方してもらう方が良いでしょう。

④アルコールは避ける

 アルコールの摂取は、正常な呼吸パターンを乱し、順応のプロセスに影響を与える恐れがあるため、高度を上げてからの2日間は特に摂取しないことが良いでしょう。
 飛行機で無料で飲めるからといって過度な飲酒は控えるようにします。

⑤適度な食事、適度な給水

 昔から、高山病を予防するためにたくさんの水を飲むことが奨められていますが、過度な飲水で高山病を予防することができるという医学的根拠はなく、むしろ低ナトリウム血症を引き起こしてしまう可能性がありますので適度な飲水を心掛けましょう。

⑥過度な運動はしない

 高地における急な激しい運動は、急性高山病のみならず、肺水腫や脳浮腫までを引き起こしてしまいます。急に走ったり、自転車に乗ったりするのは避けた方がいいでしょう。
 その一方で、ウォーキングなどの軽い運動は順応するのを助ける働きがあることが示唆されています。

番外編① コカの葉、コカの茶はどうなの?

 南米のアンデスには昔から、コカの葉やコカの葉から抽出したお茶には高山病を予防する効果があると言い伝えられてきました。いくつかの研究によるとコカ茶を飲むと高地での運動パフォーマンスが多少上がるようですが、科学的な証拠としては不十分であるとされています。
 また、コカの葉を噛むことについても高山病を予防できるという科学的な証拠は不十分であり、成分の一つであるコカインアルカロイドが人体に及ぼす影響の方が大きいと現時点では言わざるを得ません。そのため、高山病予防として、コカの葉を噛んだり、コカ茶を飲むことは推奨されておりません
 ただ、インターネット上でコカの葉を高山病の症状が現れてから噛んで頭痛が和らいだなどの体験談もありますのでそちらも読んでみると面白いかもしれません。
※コカの葉の日本国内への持ち込みは麻薬取締法に違反します。現地で購入された場合は十分にお気を付けください。

番外編②高山病かなと思ったら

 いくら予防をしたとしても、高山病になることは十分に考えられます。高山病の初期症状を事前に知り、高山病を重症化させたり、最悪の事態を防ぎましょう。高山病の初期症状として重要なのは、頭痛、食欲減衰、倦怠感、めまい、夜眠れないことが挙げられます。これらの症状がでたら、高山病の可能性があると考え、対処することが重要です。
 高山病かなと思ったら、すぐに行動を止め、休みましょう。それ以上高い場所に上るのはやめましょう。休んでも改善が見られない場合、低い位置まで高度を落とします。高度を落とすことが最も確実な方法です。
 予防方法として紹介した、アセタゾラミドの内服は高山病の症状を改善しますが、高度を下げることがより確実な方法です。
 また、アセトアミノフェンとイブプロフェンは、高山病の頭痛の症状緩和に効果があるとされています。

今回の旅行における高山病対策

 私たちの今回の行先、ラパスは標高3630mの位置にあります。我々は普段標高1200m以下の地点で生活をしているので、 “Wilderness Medical Society 急性高山病についての予防と治療のガイドライン”によると高山病になるリスクが高度である集団といえます。
 そのため、各々が日本旅行医学会が指定した医療機関で予防内服用にアセタゾラミドを得る必要があると考えます。
 また、ウユニ湖で2日から3日間の順応期間を設け、その後、問題がなければ自転車での移動を開始することが望ましいです。
 旅の行程中は、無理をしない走行で、前日よりも500m以上高い場所で寝ることは避ける必要がありそうです。
 もし、高山病のような症状が現れた場合は、前述したような対処を行いますが、高度を下げる手段がないのが難点です。そのため、ウユニ入りしてからどれだけ順応させることができるかが重要です。最悪の場合近くのホテルや通行者に助けを求めることも頭のに入れておいた方が良いでしょう。

 実際の結果などはまた後日レポートしたいと思います!

参考文献

・日本旅行医学会
http://jstm.gr.jp/

・Wilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Treatment of Acute Altitude Illness: 2019 Update.
https://www.wemjournal.org/article/S1080-6032(19)30090-0/fulltext

高山病:生理学、危険因子、および一般的な予防法
https://www.uptodate.com/ja/home

※おことわり
 この記事内の医学的情報につきましては、医学的根拠が十分と考えられる文献から引用し、吟味したうえで記載しておりますが、ご自身が実際に高山病対策が必要な地域へ行かれる場合は、日本旅行医学会ホームページなどをご一読され、認定医に相談の上、準備されることを強くお勧めします。


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