こんにちは、初期研修医として市中病院に勤務した経験があるツアコンです。土曜ドラマ「泣くな研修医」が公開されて研修医に興味を持った方も多いと思います。今回は実際の研修医が現場で抱えるストレスや本当に泣いたシーンを同僚のS研修医から大量の投書をいただいたので、私の感想を含めてまとめてみました。これをみたら白濱亜嵐さんも泣くどころか、荷物まとめて田舎に帰るレベルの恐怖体験です。

Contents

ドラマ「泣くな研修医」とは

白濱亜嵐さん主演で2021年4月にスタートするドラマ『泣くな研修医』は、現役外科医が、命を守るために懸命に戦う医師や研修医の葛藤を圧倒的なリアリティで描いた中山祐次郎による同名小説を基に制作されました。以下のような個性的なキャラクターたちを豪華キャストが演じます。

キャスト

雨野隆治(白濱亜嵐)・・・25歳の大学を卒業したばかりの研修医。鹿児島県出身。
佐藤玲(木南晴夏)・・・天野の直属の上司の後期研修医の外科医。美人で厳しい。
川村蒼(野村周平)・・・隆治と同じく1年目の研修医。都内の私立大学医学部出身。洗練された風貌をもつ。

その他に柄本時生、恒松祐里、木村昴、山口智充、高橋和也、吉田ウーロン太らが出演します!

放送時間

ドラマ【泣くな研修医】は、テレビ朝日土曜ナイトドラマ枠で2021年春スタートのドラマで、初回放送は4月24日夜11時から放送となっております!

そもそも研修医とは

研修医とは臨床研修期間中の医師の総称で、主に6年間の医学部を卒業し、医師国家試験に合格した後の2年間の初期研修に従事する医師のことを指します。ここでは〇〇科の先生とは言われず、約1〜2 ヶ月ごとに内科外科問わず様々な科を回って(スーパーローテーションという)臨床医としての基本的な技能を身につけます。

学生以上、医師未満という表現で炎上

このドラマの広報で上記表現に対して、研修医も本当の医師だ!と大炎上しました。つまり研修医は「医者だけど、最底辺」という表現の方があっていると思います。

研修医をやってみて実際に泣いた・辛かったこと、あるある

さて、現実の研修医が泣いたシーンをまとめてみました!!大量の体験談を提供してくれた初期研修医のS医師は北海道の医学部を卒業後にN県の市中病院で初期研修を開始しました!大学時代は運動部に所属し、休みはドライブなどを楽しみ、アクティブであった彼ですが、入職以降は激務のために連絡が減り、たまの休みも体力回復のために家で過ごしているようです。

そんな彼が社会人1年目を振り返って得た教訓と対策についてまとめた記事がコチラです

①労働環境に泣く

1. とりあえずカルテの使い方が分からない

診察記事の記載のみならず処方や指示も全て詰め込まれた電子カルテ、病院ごとに採用メーカーが違って最初の1ヶ月は仕事になりません。周囲に聞ける人がいないときには本当に心が折れます。

2. 保険医登録がすまなくて何も指示を出せない

医師になった年の4月は、厚生労働省の保険医登録が済んでいないため処方や診療が制限されることがあります。同様の問題は麻薬取扱者の登録にも…もしや本当に医師未満??

3. 話しかけにくい上級医とナースの間の伝書鳩になる

治療方針を上級医に聞いて、指示をナースに伝える毎日。あれ?私って伝書鳩?

4. 夜勤看護師かと思いきや日勤看護師に指示出しして怒られる

いつまでもダラダラ残業している医師の世界と違って、子持ちも多い故か時間厳守が徹底されているのが看護師さんの世界。17時30分を少しでも過ぎたら、返答は全て「夜勤ナースに言ってください」

5. 「指示くれないと何していいか分からない」と言いながら指示出しすると機嫌が悪いおばはんナース

経験と実力を兼ね備えた上に肝っ玉も座っているおばはんナース、特に救急外来で頼りになるシーンは多いです。しかし、ときどき研修医をいじめることが生きがいの不良おばはんも混じっているので要注意。

6. 1~2か月おきに新しいバイトの気分を味わえるが、仕事を覚えたころにはまた環境が変わる

スーパーローテションの宿命、以前回っていた研修医から地雷(ブチギレ上級医or看護師さん)を聞く作業が必須です。

7. 当直中、やたら検査項目に厳しい上級医「先生、これなんでとったの?」

網羅的に検査していると思われる血液検査、実は項目ごとに費用がかかります。理想は治療方針に関与する項目だけをオーダーすること、そう、理想は…。アミラーゼくらいとっても別にええやん…

8. 救急外来で日中の診療並のことを求める上級医「先生これMRIまで取らないとわからないよね?」

研修医の庭と呼ばれる救急外来。特に夜間は人手不足のため貴重な戦力?人的資源?として活躍の場が与えられます。上級医の監督下で診療を進めますが、言ってることは上につく医者によってまちまち。以下、上級医に翻弄されるシリーズです。

9. ほぼ寝当直なのにぶち切れ上級医

暇な時は寝てて、用事があると起こして指示を仰ぐタイプのシチュエーション。ブチギレているのは私のアセスメントが悪いからなのか、あなたの機嫌が悪いからなのか…

10. ねちねち系意識高い系後期レジ3年目

一般的には若手と思われる3年目、しかし1年目にとっては神様のような知識量と実力で私たちを導きます。教育的なのはいいのですが、時間がなく答えが欲しい場面で1時間のレクチャーを開始されても…

11. 中堅医師に相談して治療を開始後、部長からカンファで鬼詰め

やさしく(適当な)中堅医師にありがちなざっくりした治療方針を間に受けてカンファレンス(全体ミーティング)で発表したら部長にけちょんけちょんにされるでしょう。もちろん中堅医師は知らん顔でスマホいじってます。

12. ローテーションした挙句、すべての科が進路の候補から外れていく…

自分の将来進む科を選ぶ意味合いももつスーパーローテーションですが、困った現象が回った科の嫌な面が見えることで候補から外れること。2年目の終わりには全部の科が候補外!?

②実力・技術不足に泣く

1.患者持たされたはいいけど、笑顔を振りまくしかやることないこと

困ったら笑っとけといったところでしょうか。

2. アンプルの吸い方わからずに薬剤をぶちまける

薬品が入ったアンプル、切り方が独特で指を切ることを多々あります。

3. 清潔野を何となく不潔にした気がする瞬間

手術などで清潔に保たれたゾーンには触れてはいけません。下っ端が不潔にした日にはどんな目に合わされるか怖い…

4. 急変や外傷で、医者が大量にいるときに去るに去れず、特にできることもなくただ見ている状況

大人数の医者が集まってくるこの状況、各々できることをやることがベストなのですが、できることがないときは傍観者になってしまいます。

5. 鼠径の動脈採血が引けなくなった時

法律?慣例?の関係で医師にのみ?許されている動脈採血、看護師さんに見守られながら採血するも途中で止まるor凝固してしまったときは「おいおい大丈夫かこいつ?」という冷たい目に晒されます。

6. ルート取ったはいいものの、血液ぶちまけてシーツ交換へ

珍しくルート(静脈路確保)に成功して調子に乗ると、シーツに血液が!あとで交換するのは看護師さんです。申し訳なさそうにワタワタしても帰ってくるのは舌打ちだけ…

7. 上級医外来中の患者急変時

大事なときに限って外来中、もしくは外勤中の上司、なぜタイミング良くいないんだ?

8. 麻酔科ローテ中に食道挿管2連発

麻酔科で挿管のトレーニング中の出来事、最後の最後で気管ではなく食道にチューブが入ってしまうと今までの努力が水の泡。指導医、オペ看さん、そして早く切りたくてしょうがない外科医からの視線が痛い…

9. 麻酔科ローテ中、外科医の言葉が聞き取れず、ベッドローテーションで賭けに出て間違った

同じく麻酔科、患者のベッドの傾きを外科医の先生が楽なように変えるのは研修医の役割ですが、マスクごしでよく聞こえないことも、ミスると術野から睨まれます。

10. よくわからない手技を「先生やってみる?」といわれ、NOとは言えずやってみるも、よくわからず、周囲からのプレッシャー

基本的に手技はどんどんやってみたいものですが、意外なタイミングで初めての手技に出会うことも…「次はちゃんと教科書読んでからやろうね」、ごもっとも。

11. 何もしないのになぜか呼ばれる緊急オペ

なぜか呼ばれる緊急オペ。終わった後に振り返ると自分いなくても手は足りてたんじゃないか?と。

12. 気を利かせて手を動かすと怒られ、何もしないとそれはそれで怒られる外科手術

同じく手術にて、特に危険なのは腹腔鏡手術のカメラ持ち、執刀医を経験しないとうまくできないという矛盾…

13. 尿カテを陰核に懸命に入れようとしていたら、女性オペ看「先生それ違いますよ」

尿道口を同定するまでが一苦労。こちゃこちゃやってると恥ずかしい…

14. 超高齢者、直腸診したら診察室が便まみれ事件

舌打ちされながら、みんなで便を回収します。

③患者さんに泣く

1. 夜間救急外来なぜか敵対心の強い小児親から鬼詰め。「小児科医はいないんですか?」

この時間にもし小児科医がいたら、小児科は全員過労死だよと。

2. 親が見守る中ギャン泣きの小児の顔面縫合

女の子の顔に傷を残すまいとするお母さんの祈るような期待に押しつぶされそうです。

3. 絶食させた患者が高率で胆嚢炎・胆管炎

運が悪いんでしょうね。消化器内科に電話しましょう。

4. なぜか金夜12時に来る4日前から動けなくなった超高齢者

なぜこのタイミングで?が多いのが救急外来、早過ぎor遅過ぎ。

5. 休日、入院中SBP70の超高齢者。ナースからの「先生どうしましょう?」

急変なんかやばそう、休日は守りが手薄なので危険です。

私の感想、そして研修医になる・医師を目指すあなたへ

ここまで研修医が泣いたシーンを振り返ってきて、読者のみなさんが病院で研修医に出会った際は、こんな辛い体験をしながら普通の医者になることを目指しているんだなあと温かい目で見守っていただければ幸いです。

そして、医師を目指す若者のみなさんは少しやる気がなくなったかもしれません。そしてあまりかっこよくないなと思ったかもしれません。ただ、この実際に泣いたシーンを振り返って、労働環境への不満はあれど給与への不満や自分の実力不足を人のせいにする姿勢が全くないことに感動しました!そこに痺れて憧れます。多少はかっこいいです。ぜひその姿勢を見習って行きたいと思います。

泣くな!研修医S!研修医よ!永遠に!!


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