こんにちは、先日ツアコンの記事にて紹介された推薦状を書いたKATOHです。この話をツアコンから依頼されたときは、ずいぶん重荷なタスクだと思ったわけですが、面接先の先生方に大方好評だったということ、無事合格したということでミッションとしては成功と判断しています。私は文章を各専門家ではないし、どちらかというと国語は苦手なのですが、文章も所詮一つのメディア(媒体)であり、動画やコンピュータープログラムのように適切にデザインすることで目的(合格)の達成をサポートすることができます。今回の推薦状も計算していくつかのトリックを仕掛けていました。せっかくなので感動の推薦状の舞台裏を公開していきたいと思います。推薦状だけでなく、就活エントリーシートを書くときにも参考になるのではないでしょうか。ちなみに記事では参考にならないと評されていましたが…

Contents

ミッション定義

デザインの根本はミッション定義です。今回のミッションはまず、彼を合格させることです。しかし、もちろん合格には推薦状だけでなく、面接や成績など他の要素も大きな要素としてあります。一般に推薦状の目的は、”面識のない者でも、社会的信用を有する者や学識経験者等の推薦人(機関)が書いた推薦状を示すことにより、信頼に足りうる人材として、組織や学校等にその存在を認めさせることができる。”とされています。しかし私の社会的地位では効果は限定的です。もう一つの目的は、面接の材料となることです。したがって、達成すべきことは以下に分類できます。

  1. 社会的地位のない人物が書いた推薦状単体で、彼の評価の向上に一定の効果を発揮すること。
  2. 面接時の効果的なコミュニケーションをサポートするためのインプットとなること

概念設計

このフェーズでは、上記のミッションを満足するための要求を定義していきます。

コミュニケーションの目的は大きく3段階:認識、理解、共感に大別できます。上層に行くほど、コミュニケーションを成功させるのは難しく、また原則的に相手に行動(本ケースでは合格)を促したい場合は、最後の共感フェーズまで持っていく必要があります。

第一の壁は認知の壁で、これを突破できない、つまり相手の注意を引くことができないコミュニケーションはすべて失敗、すなわちノイズです。この認識の壁を突破するには、十分に相手の注意を引いておく必要があります。今回のケースでは、面接官が推薦状を読み終わるまで注意を引くように工夫するのです。言い換えると、面接官が退屈して紙を捨ててしまったらダメということです。もちろん面接官も仕事ですから、実際に紙を捨てることはないでしょう。けれども、読むことを苦痛に感じていたり、今晩の夕食のことを考えながら流し読みされてはいけないのです。

要求1:推薦状を読み終わるまで面接官の集中力を維持するための工夫をする

第二の壁は理解の壁、そこに情報があることを相手は認識したものも、何を行っているかわからなければ、賛成も反対もしようがありません。そもそも、メディアにおけるデザインの良し悪しは製作者のアイデアを使用者(今回の場合は面接官)がどれだけ再現できるかで決まります。したがって、私が推薦状を書いた意図を面接官が頭の中で再現できるように設計する必要があります。

要求2:推薦状の内容から想起させるイメージを固定する

第三の壁は共感の壁、これまでの2つの壁を突破したとして、面接官が共感できなければこちらが意図するアクション(合格させる)には繋がりづらいでしょう。これは非常に難しい問題です。万人受けと深く刺さる(共感される)ことは概してトレードオフです。一般に日本の就活向けのガイダンスでは個性を出すことを推奨していません。面接官はどんな人かわかりませんから、たまたま出会った面接官の好みにより落ちてしまうのは勿体無いという理屈です。余談ですが、それに元付いてさまざまな就活神話を流布している就活講師や就活支援課に私は辟易しています。「髪は黒、リクルートスーツ、時計はシルバーのアナログ」とか「ノックは2回」とか「ESは手書きで」とかですね。

 しかし、この戦略は別の敗北シナリオの可能性をはらんでいます。それは「個性が出なさすぎる」もしくは「平凡すぎて埋没する」ことです。あくまで私の体感でしかありませんが、レベル(難易度や人気度)として真ん中ぐらいの企業や機関を目指すのであれば、個性はあまりださなくても合格できるかもしれません。しかしトップレベルの企業や機関を目指すので有れば、差別化要因が必要です。「僕はいい子です」だけでは受からないのです。そんな候補者は掃いて捨てるほどいるからです。

今回のツアコンのアプライ先がトップレベルの研究機関であることを考えると、面接官もトップレベルの研究者の可能性が高いです。

要求3:トップレベルの研究者に刺さるストーリーにする

さて、今回は推薦状の概念設計として、要求出しをしました。これから就活をする皆さん役に立てれば幸いです。次回はこれらの要求を満たす文章を具体的にどう構成していくのかを書きたいと思います。


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推薦状ブレイクダウン|合格のための青写真(2/2)-詳細設計編 | EAT PRAY CARP · 12月 28, 2019 at 5:49 am

[…] ※本記事は「推薦状ブレイクダウン|合格のための青写真(1/2)-概念設計編」の続きです。 […]

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